40年前、「本当に酒を愛する人のためにお店を開きたい・・そして、おとなの心を癒すことができる場所を提供したい・・」そんな思いでBARを開業しました。
ウィスキー・ブランデーの絶妙な味の数々に魅了されて十数年、ありとあらゆるウィスキーを探し続け、その味わいに心酔しきりの毎日でした。来ていただいたお客様に「このウィスキーを探していたんだ・・この酒はね〜」と話が弾み、多くの想い出が詰まった酒とともに、感慨深い表情を見せるお客様の傍らで時を過ごしてきました。
カクテルとの出会いは、あるウィスキーを探していたときでした。とあるBARのカウンターで、隣の方が注文されたカクテル、その美しさに言葉を失いました。言い過ぎかもしれませんが、ひとつの芸術とでも言うべき表情を感じたからです。”飲む前に酔う”〜カクテルは、そんな言葉がぴったり当てはまる酒だと気づかされました。折しも巷では、トムクルーズ主演の映画<カクテル>がもてはやされて、お客様も自然にカクテルを受け入れてくれるようになったようです。
”美しくおいしく飲む” ”雰囲気を楽しむ”そんなこだわりを意識し始めたのは、このカクテルとの出会いがあったからだと思います。以来、玉井ではお客様への11か条なるものを提示させていただき、個々のお客様の大切な時間を過ごせるよう努めてまいりました。
<<カクテルバー玉井の”してはいけない11か条>>
1,大声を出さない
2,となりの人と話したがる
3,自分本位
4,酒量のコントロールができない
5,乱暴、喧嘩ごし
6,知ったかぶり
7,女性にさわりたがる
8、下品な話題
9,必要以上にいちゃつかない
10、女性のカン高い笑い声
11、店内での携帯電話の使用
そんな思いも受け入れていただいて、ウィスキー&カクテルを、洗練された大人が味わえる場として、皆様に愛され続けてまいりました。
そして、時代は新たなお酒への導きを示して下さいました。それが、ワインとの出会いでした。初めて口にしたときの印象は実に強烈なものでした。「ワインとは、こんな口あたりの悪い酒なのか・・」しかしこのイメージは、数日後に、180度変わったものになりました。「え?これがワインなのか・・」ボルドーワインでした。まったく違った味わいを見せるではありませんか!しかも時間の経過とともに”お酒の表情が変わる!”こんなお酒があったのか・・まさにカルチャーショックでした。
「お酒の神様は、こんなにも奥深いものへの導きをするものなのか・・バッカスは、実在する!」そう確信したのもワインへの導きがあったからです。
それ以来、カクテルバー玉井は、ワインへのこだわりを人一倍強く持つようになりました。だからこそ、ワインの王道ともいうべきボルドーワインに傾倒していったのです。
新たに店を移転して、地下にワインセラーを備えたのも、本物のワインの熟成香を極めたいという思いからでもありました。
(*熟成香・・・香りは最初に脳が感知すると言われています。このため、香りでおいしさがわかるようです。おいしいワインは、最高の香り・熟成した香りを放ちます。そして、その香りに合う料理を食べる・・マリアージュは、香りのこだわりから。と考える今日この頃です。)
開業40年経った今、バッカスの導きともいうべきワインとの出会いは、年甲斐もなく、まだまだ恋愛真最中といったところでしょうか・・。
こんなお酒との出会いを楽しんだり、本当に美味しいお酒を味わったりするのは、今までは、人生の喜怒哀楽を十分に経験した紳士淑女であったのかもしれません。しかしながら玉井は、この変化が激しい時代だからこそ、これからの次代を担う若者こそ、お酒の奥深さを知って欲しいと思っています。
若い世代の人たちが、BARでのお酒の飲み方がわかるような素敵な人になってほしい・・そんな思いで皆様のお越しを待っています。